沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.1382]

  • (土)

<< 前の記事  次の記事 >>

「表紙」2011年09月22日[No.1382]号

熱血監督 伸ばそ 6

熱血監督 伸ばそ 6(2011年09月22日掲載)

感謝の心忘れず日々精進
川満則明さん(64)糸満市体育指導員協議会会長

 海邦国体のバドミントン会場となった糸満市。国体開催を機に住民、行政が一体となって競技力向上と普及に力を注いできた。現在は県内有数の競技人口を誇る。その礎を築いてきた市体育指導員協議会会長の川満則明さん。多くのクラブチームを立ち上げ、全国レベルの選手も育ててきた。還暦を過ぎても、情熱とパワーは衰えしらず。常に感謝と思いやりの心を持ち、日々精進を続ける。

競技力向上、日常生活から

 重さ約5グラム、長さ約7センチのシャトルを交互に打ち合うバドミントン。早い動きと瞬発力、持久力が必要とされ、屋内スポーツ競技で最も体力を消耗するといわれている。

 糸満勤労者体育センターで子どもたちと一緒にラケットを握る川満さん。数年前に現役を退いたとはいえ、トレーニングを積み重ねてきた体は40度近い高温多湿の館内でも、疲れ知らず。精力的に動き回る。

 糸満中学校バドミントン部の外部コーチを務める川満さんを慕い、センターに集うのは市内の小中学生を中心に高校生、大学、一般と幅広い。県内一線級の選手が技術を磨き、精神面を鍛える。

 川満さんは中学生のころからバレーボールとバスケットボールを始め、社会人では両競技の県選抜選手として活躍した。論理的で厳しい指導ながら、チームの和や人としての心を大切にする。時には”父親・兄貴“として、子どもたちを温かく見守ってきた。

 「スポーツ競技で生計を立てる選手以外、身体能力はそれほど重要ではない」と川満さんは言い切る。「最も大切なことはその競技を好きになり、それを継続すること。興味を持つようになると、自分自身で考え行動に移す。その過程が大切」。

基本は4つのワーク

 バドミントンは4つのワークが大切といわれている。

 川満さんの練習メニューはウオーミングアップから始まり、基本を習得する地道な素振りを繰り返すことにより、正しいフォームを体におぼえさせる。それに体力養成も兼ねる。同じ練習でも選手の能力、個性により対応は異なる。個人の能力を最大限に引き出すため「フット、ラケット、ボディー」の3ワークに加え、自からが目的、課題を持って4つ目の「頭脳」ワークを磨く。

 ラケットを握り、シャトルを思い切り打ち合う子どもたちはどの子も表情が元気で明るい。大きな声で励まし合い、いいプレーをした仲間には声援を送るなど競技を楽しんでいる様子が伝わってくる。

 川満さんは「センターに来る子どもたちは『うまくなりたい』と向上心が強い」と話し、「たとえ選手として試合でなくとも、練習の取り組みや人との触れ合いを通して学ぶことはたくさんある。周囲の理解や協力、支えがあって競技を続けていることを理解してほしい」と訴えた。

 長年、指導に携わってきた経験から近年、子どもたちの体力低下には疑問を呈す。「小学生は全国でも十分通用する。中学生も実力的には遜色ない。それが年齢、学年が上がるにつれ、全国との差が広がってくる」と顔をしかめた。

 近年の傾向として「基本的な生活習慣がおろそかにされている」と原因を挙げ、「夜更かしする子どもが増え、そのため朝起きられず朝食を抜く。バランスの崩れた食事などを続けているために体力が低下、集中力も持続しない」と食育など日常生活の大切さを説く。

 自身の経験から川満さんは「勝負どころはどんな選手でもきつい。その時に力を発揮できる選手が本物。そのために日ごろから『当たり前のことができる』『小さなことを地道に努力する』指導を心掛けている」と練習の取り組みを説明した。

 「あいさつや努力することの大切さ。感謝、敬意、他人への思いやりの心を絶対忘れてはいけない。ここで育った子どもたちが、スポーツ楽しさ素晴らしさを次の世代に引き継いだら何よりうれしい」と表情が和み、笑みがこぼれた。

 (池原雅史、写真・照屋俊)


感謝の心忘れず日々精進
バドミントンを通して感謝の心を育てる川満則明さん=糸満勤労者体育センター
感謝の心忘れず日々精進
バドミントンの基本である、レシーブ練習を指導する川満さん
感謝の心忘れず日々精進
7月に行われた県中学大会で準優勝を勝ち取り九州大会出場に出場した「糸満中学バドミントン部」
感謝の心忘れず日々精進
わたしの一言
糸満中学校バドミントン部主将 金城 悠姫(ゆき)
全国大会に出場したい
>> [No.1382]号インデックスページへ戻る

↑このページの先頭へ戻る

<< 前の記事  次の記事 >>