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[No.1432]

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「島ネタCHOSA班」2012年09月06日[No.1432]号

南城市で大ウナギ発見!

 今年の春、南城市玉城の浜を散歩していると、砂浜にできた小さな川を海から懸命に泳いでさかのぼってくる魚を発見しました。2m程の大きさで、太くて長く、よく見ると黄金色のウナギでした。沖縄にもウナギが生息しているのですか?(那覇市 Y・Hさん 2012年9月5日掲載)

南城市で大ウナギ発見!

 すごいですね! 黄金色のウナギがいるんですか? 昨今、ウナギが少なくなったせいで、先日の土用の丑(うし)の日に財布と相談した記憶が新しい調査員ですが、沖縄でもウナギが育つのなら庶民の未来は明るい?と調査を開始しました。

湿地や田んぼに生息

 まずは大ウナギが発見された南城市玉城。地元の人に聞き取りをしたら、「小さい頃(約30年前)は田んぼ、湿地でよくウナギを見つけ、捕って井戸などで飼った」とのこと。「祖父に薬として食べさせた」という人も。食べたことがあるという人からは「小骨が多く、脂が少なくおいしいものではなかった」という貴重な体験談を伺うことができました。

 ウナギはエラと皮膚で呼吸するので、水がない場所でも移動することができるそう。発見された大ウナギは、大雨が降った時に海に流れ出し、それが元の場所に戻ろうとしていたのではないか、という見解もありました。

養殖に適した環境

 さらに調査を進めると、県内では金武町と今帰仁村で養鰻(ようまん)をしていることが分かりました。詳細を知りたいと、40年にわたってウナギを養殖している金武町の金武養鰻場の社長・渡嘉敷一雄さんにお話を伺ってきました。

 田芋畑を見下ろす風光明媚(めいび)な場所にある同養鰻場。創業当時は全国的に養鰻が流行し、県内でも50件ほどあったそうです。先代が手探りで始め、試行錯誤しながら品質の良いウナギを育てることに成功。湧き水の豊富な広々とした金武で、無投薬で手塩にかけて育てたウナギが特徴です。

 昔からお茶を入れるために利用したという茶川の清流を水源にした、七面の池の中でのびのびと育てられる金武産ウナギ。餌の時間には、元気なウナギたちがピチピチとうなぎ上りで餌に食い付きます。

 沖縄でもウナギが育つのですね。昔から獲れたのでしょうか? 「日本で昔から食べられているウナギは『ウナギ目ウナギ科 anguilla japonica』という種類。水温30℃が適温なので沖縄はウナギにとって良い生育環境ではありますね。おいしいウナギは水質の善しあしで決まるので、その点でも好条件がそろっていますよ。しかし、天然の日本ウナギは海で産まれて河川で育つので、大きな河川のない沖縄ではウナギ漁をしたという話は聞いたことがないですね。わずかにはいたかもしれませんが…」

 大ウナギは金武辺りにも生息しているのですか? 「大ウナギは見たことがありません。それに種類も異なるんですよ」

 なるほど。大きさも見かけも違いますね。オオウナギはジャポニカ種とは同属別種。学名は「anguilla differbahii」。最大2m、体重20kgに達し、丸太状になり、熱帯、亜熱帯域に広く分布。一匹で20人前のうな重ができる大きさだそうです。九州以北では天然記念物に指定されているようです。

 ここ数年、世界的にウナギの数が減少しているようですが? 「ウナギの稚魚、シラスウナギが収穫できなくなっているのは事実です。うちの年間の養殖収穫高もここ数年で約20tから約12tに減っています。ジャポニカ種は成長すると海に下り、マリアナ海嶺で産卵。ふ化した稚魚がシラスウナギの状態で黒潮にのって台湾などの東南アジアの岸にたどり着き、河川をさかのぼる生態だといわれています。この稚魚自体、いなくなっているのです」

 近い将来、ウナギが食べられなくなってしまうのでしょうか? 原因は何だと思いますか? 「天然ウナギの乱獲もあると思います。また、地球環境が変化する中、産卵場所が少しずつずれて稚魚が河川にたどり着けないのが原因という報告もあります。自然界のことだからどうしようもないけれど…。とにかく、元気でおいしいウナギを育てることに力を注いでいきます」

 ウナギがますます貴重なものに思えてきた調査員。感謝しながら栄養豊富なウナギを食べて、もっと頑張ろうと思うのでした。


南城市で大ウナギ発見!
捕獲された大ウナギ=南城市玉城
南城市で大ウナギ発見!
渡嘉敷一雄さん
南城市で大ウナギ発見!
青みがかったウナギは身が柔らかいといわれています=金武町の金武養鰻場
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