「島ネタCHOSA班」2012年06月21日[No.1422]号
コザの某バーで妖しくレトロなラベルの「不老酒」というお酒をみつけました。飲んでみるとイチゴのような風味で、ラベルにはハブと沖縄薬草のリキュールと書いてありました。一体どんな物なんでしょう?(2012年06月28日掲載)
コザで謎の不老酒発見!
(沖縄市 F・Hさん)
コザの年代物、アメリカ統治時代の匂いがしますね~。現場の聞きこみから調査を始めて参りました。現在は販売してないようですが、卸元であるという沖縄市中央の創業47年「とおやま酒店」に赴き、2代目の大濱安史(61)さんにお話を伺いました。
海洋博の沖縄土産?
謎の「不老酒」というのは一体どんなお酒なんですか? 「これですね?」と、ドーンと、地下の貯蔵庫から取り出された瓶には「沖縄薬草ハブ酒不老酒薬味酒」「製造元オリエンタル酒造」の時代を感じさせるラベル。
こ、これです! すごい~。 「ハブと沖縄ハーブ、ラム酒から作ったお酒なんですよ、今はもう製造してないけれど…」
「なんと、幻のお酒なんですか? 随分年代物のようにお見受けしますが。それに、この「オリエンタル酒造」はまだ現存してるのですか?
「もう製造はしてないけれど残っているものを少しずつ出してはいますよ」。残念ながらオリエンタル酒造の工場は宜野湾市我如古の道路拡幅工事の際に閉めてしまったそうです。
不老酒は沖縄国際海洋博覧会の時に沖縄のお土産として父親である先代・当山一夫(82)が考案したものなんですよ。沖縄名物のハブと沖縄の薬草を漬けて薬酒のイメージだったようです。当時は製造が追いつかないほど売れて、それはそれは大変だったさ。今残っている物は当時作った物だから約40年になるかね」
なにやら体に良さそうなお酒。古びたパッケージには「ウッチン、ンジャナの根、サラカチ、長命草、ムーチーガーサの実、フィファチなどなどそして、ハチミツ、クエン酸を配合して飲み易くしてあります」と表記。「限られた数しかとれないハブを使用しているため量産できない」旨があります。とても希少な物のように思われます。
生きたハブを仕入れ
「オリエンタル酒造は、先代がウイスキーを製造するために工場を併設しました。ベトナム戦争時代、コザで米兵のために『45』ウイスキー、通称『1ドルウイスキー』をブレンド販売したのが始まりなんですよ。これが爆発的に売れてね。たるとウイスキー原酒を県外から輸入して沖縄でブレンド、瓶詰めしてコザの店からAサインバーに配達して…と、ハァッサー、毎日寝る暇もなかったよ」
うーむ、お酒を通して当時のコザの熱い空気がよみがえってくるようです。
話は戻り、ということは「不老酒」はとおやま酒店のオリジナルなんですね。
「そう。先代の考案した配合で僕が作ってたよ。生きたハブの仕入れからやったからね。伊江島と久米島にトラックいっぱいに買い付けして。当時、ハブ一匹千円したかな。大きいのは7千円もしたよ。それで、その日の内にきれいに処理するわけさ。一匹一匹手作業。形を整えるために割り箸をかませたりして手間がかかる作業だったよ」
今目の前にあるこのお酒にはそのような歴史が溶け込んでいるのですね。パッケージに書かれている内容は当時で既に「ハブエキスは5年ものを使用」とあります。
滋養があり、傷が治りやすくなったり、若返るといううわさのある40年モノの不老酒。同酒店内のスタンドバー・コネクトでミルク割り「ハブミルク」で味見させてもらいました。
ふわぁ~と体に染み渡るようにラム酒と沖縄ハーブの甘い香り。本当にイチゴミルクのような味わいでした。こんなおいしいハブ酒ってあるんですね。毎日飲んでいたら若返りそうな気がしてきました。秘密のレシピの復活を期待します!