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[No.1400]

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「島ネタCHOSA班」2012年01月26日[No.1400]号

“車いす駐車場”、配慮は?

最近、ワシントコポストで障がいのある方たちが利用する「専用駐車場」についての投稿を見かけます。健常者の非常識な例や、逆に誤解をされる例など、障がいの有無や程度は見た目では分かりません。実際はどうなのか調べてください(2012年01月26日掲載)

“車いす駐車場”、配慮は?
(40代・浦添市)

 体の不自由な方や妊婦さん、お年寄りのマークが表示された「専用駐車場」。出入り口に近く、利用者に配慮して設置されているが、小紙ワシントコポストへも、さまざまな立場のみなさんからの投稿が続いている。そこで調査員、現状を確かめるべく現場へ。立場の違いで疑心暗鬼になっているみなさんの気持ちが少しでもすっきりすることを祈りつつ…。

 まずは利用される立場の方へ。独自の取り組みとして2種類の「駐車許可証」を発行する、イオン琉球株式会社の上原美佐緒さんは、

 「お客様から『車いすで来たけど駐車できない』『健常者の方が停めているようだ』などの声が寄せられまして。スムーズに気持ち良く利用していただける一助になれば」と、発行のきっかけを話す。県内イオン琉球全35店舗共通の許可証は、妊婦さんなど向けで1年上限(黄色)と、障がい者手帳をお持ちの方向け(ピンク)がある。

 「今のところ苦情はありません。ですが、お客様の中には”障害者手帳はないけどとにかく発行してくれ“と言われる方もいらして。できるだけ公平に利用していただきたいので、この点が現場では悩ましいところです」と話す。

 では、利用する立場の方はどう感じているのだろう。自身、障がいを持つお子さんの母である、NPO法人脳文庫の喜久里美也子さんは、やさしい口調で話す。

 「法的に縛ることではないんですよね。今日はちょっとつわりがひどいから専用駐車場に停めようとか、自分で判断することも大事。だけど、”本当に切実に必要な人がいる“ことだけは知ってほしいんです」

 本当に必要な人、切実な人とは。喜久里さんに、ある女性を紹介いただき、大型商業施設の専用駐車場で待ち合わせをした。

 限られたスペース

 セダン型の乗用車で現れた平田かおりさんは、脊椎損傷のため、車いすの生活が約20年。アクセルを手動にしているが、運転席に座っていると、正直、健常者と見分けがつかない。「普段通りにお願いします」と、専用駐車場での乗り降りを見せていただいた。

 平田さんは、運転席リクライニングを後ろに倒し、後部座席に乗せた重さ約10キロの車いすを背筋を使ってお腹の上に持ってきてひと呼吸、よいしょっと車外に出す。いすを広げ、ひと呼吸、お尻から車いすに移動し、両足を持ち上げて乗る。呼吸を整えながらの移動は、5分以上掛かる。その間、車のドアは全開していなければ移動できない。この日の天気は雨。必然的に、屋根のない専用駐車場ではずぶ濡れになるので、さらに停める場所が限られる。

 恥ずかしながら、車いすの方の利用を初めて見せていただいた調査員、そう言えば、待ち合わせの場所を決める時、平田さんは「明日は雨という予報ですから、屋根のある3階にしましょう」と言っていた。各店舗の専用駐車場の設置場所や込み合う時間なども把握して出掛けているのだ。平田さんは言う。

 「20年前に比べると、出掛ける環境は良い方に変わっていることは実感しています。県外、国外と比較しても、例えば”ゆいレール“はとっても利用しやすい。逆に、役所が利用しにくいなど温度差がありますね」

 前出の喜久里さんの言葉が心に残る。「駐車場を利用する人みんなが、障がいを持つ方が出掛けたり自立するための支援者になってもらえれば良いですよね」。

 そう、ここは沖縄、ユイマール。さまざまに立場が違えども、気持ち良く、何気なく自分らしい生活ができたらうれしいな、と願う調査員。その気持ちは、みなさん同じではないですか?


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1人で乗り降りする平田さん=イオン具志川店
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