沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。週刊レキオ



[No.1379]

　沖縄の人なら誰もが知っているオリオンビール。ビール好きの大人ならみんな一度は飲んだことありますよね～。もっちろん私も大好きであります！　隊長！

　でも確かに、どうしてオリオンビールっていうんだろう。沖縄ビールではなくオリオンですもんね。それにその噂、気になります！う～ん。謎多きオリオンビール、ちょっくら飲みに…ではなく調べに行ってきます。

　夢やあこがれの象徴

　そういうわけで、オリオンビールのことならオリオンビール株式会社に聞けということで、早速行ってきました。今回お話を伺ったのは営業企画課の岸本学さん。ここで働く皆さんはいつもできたてのビールが飲めるのですか？　という質問はちょーっと置いておいて、まずは気になる噂から聞いてみました。

　オリオンビールにかかれている三つ星は、昔は五つ星だったという噂があるそうなのですが本当でしょうか？

　「いえ。オリオンビールにかかれている星は初めから三つ星ですよ」

　あれま。そうだったんですか。三つというのにもまた意味があるとか？三つの星それぞれに意味が隠されていたりとかではないんでしょうか？

　「星ひとつひとつには特に意味はありません。星は夢やあこがれを象徴することと、「オリオン座の三つ星」から三つ星になりました。また、当時沖縄を統治していた米軍の最高司令官の象徴が『スリースター』だったことなども三つ星の理由となりました。」

　おぉ！何だかかっこいい。スリースターからあのロゴマークができたというわけですね。なんだかオリオンビールを飲むことによって私も大物になる気がしてきました。（↑単純）

　一般公募で決定？

　ではもうひとつ。オリオンビールの名前の由来を教えてください。

　「オリオンビールの名前は、1957年11月10日の新聞紙上で行われた一般公募で決まったんですよ」

　へ～なるほど。沖縄のビールの名前を沖縄県民みんなで考えようということだったんですね。素敵な企画。”オリオン“という名前が採用されたのには何か理由があるのでしょうか？

　「まず『ビール名は大衆に親しみやすく呼びやすい名称にすること』という条件で一般公募しました。賞金が高額だったこともあり2500通あまりもの応募、823種類の名称が寄せられ、審査の結果、那覇市首里の宮平ヨシさんの『オリオン』が1位に選ばれました。『オリオン』は、正座のオリオン座から命名されたものです。当時の講評によると、オリオンは南の星であり、沖縄のイメージにマッチしていることが決め手となったようです」

　南の島沖縄に南の星オリオン。ベストマッチですね～何だかロマンティック。納得しました。（実は少しだけ採用時の賞金の額が気になっていたことは内緒です）

　　　　☆

　いつも何気なく飲んでいるオリオンビールにこんな奥深い歴史があったとは。最後に岸本さんに、オリオンビールができたときのことを聞いてみたところ、オリオンビールの会社が設立した当時は、ビール製造業は大規模な装置産業であるため、莫大な資金と高度な技術が必要であることから、難事業中の難事業といわれていたよう。しかし創業者の沖縄への熱い思いと、沖縄県民に支えられてここまでになったという。今回調査してみて、オリオンビールが長年愛され続けているわけがわかったような気がした調査員でした。