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[No.2033]

  • (木)

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「表紙」2024年04月25日[No.2033]号

役者32人が出演
9人の脚本家が描く新感覚の舞台劇
「九人脳」

県内演劇界の「今」を知る

 5 月11 日から上演される劇団O.Z.E(オゼ)主催の舞台公演「九人脳」。 脚本家、放送作家、お笑い芸人9 人が脚本を担当し、県内で活動する役者 32 人で、所属劇団の垣根を越え出演する。どんな公演になりそうなのか、観 客に向けたアピールポイントや、脚本家・演者の思いを教えてもらった。

 今回の上演は、約 20 分の演 劇全9作品。1公演で3作披 露する予定表も発表された。

 上演にあたって①出演者は くじ引きで決定②最初のせ りふは「だからいったさ」③最 後のせりふは「コーヒーでもど うぞ」という3つのルールあり。

 脚本を担当した1人であ る大田享さんは、「この『九人 脳』を見ると、県内演劇界の 幅の広さが分かると思いま す。脚本家や役者の頑張りも 伝わるはずですよ」と話す。

 他チームの作品はほとんど 見ていない大田さんだが、「最 初と最後のせりふは共通で すが、ストレートに出す作品 はあまりない気がします。他 との違いを出し、観客に読ま れないような遊びを入れてひ ねるでしょうね」とほほ笑み ながら予想。普段は1人もし くはコンビで舞台に立つが、 「芸人の時は自分にできるこ としかやっていない」と続ける。

 「演劇は僕ができなくても 脚本に入れると、役者メン バーが演じてくれる。表現が 増えて楽しいです。今回はポ テンシャルの高い4人が演じ てくれるので本当にラッキー。 お笑いでは絶対にない表現を 1カ所だけ入れているので、 どこか探してください」

垣根を越え楽しく稽古

 大田さんが付けた作品名 は「グソウ」。沖縄の言葉で 「あの世」を指し、亡くなった 人は生まれ変わったりせず死 んだままがいいと思っているの ではないか !? という空想から 始まったファンタジーコメ ディーとのこと。役者4人は、 どう演じるのか。

 「ドキドキワクワクで稽古 を楽しんでいます。9作とも 作風が違い、役者の個性の化 学反応で面白くなりますよ。 1作見たら全作見たくなる はずです」(蔵元利貴さん)

 「最近はミュージカル出演が 多く、せりふでつなぐストレー トプレイは久しぶり。テンポの 良さを大事にする作品です ので、そこに注目してくださ い」(花燈明佳さん)

 「本番が楽しみで仕方あり ません。能力が高い3人との 共演なので、ついて行けるよう に頑張ります。僕がどんな役 回りを演じるか見ていただき たいです」(上原一樹さん)

 「稽古初日は台本がないま ま進め役者の3人は震えてい ましたが、芸人の僕は平気。 お笑い畑でいろんな経験をし ていますから(笑)。ロン毛で飛 び道具のようなキャラクター を演じるので、楽しみにして ください」(TOMOKIさん)

気軽に見てもらえる舞台を

 「最後のせりふを『コーヒー でもどうぞ』にしましたが、最 初のせりふみたいじゃないで すか」と笑顔で語るのは総合 演出の新垣晋也さん。この言 葉での終演がどうなるのか楽 しみだという。新垣さんは「ワ クワクすること」を演劇人と してのテーマに掲げている。

 「僕らがワクワクしたら、観 客を引っ張れると思うんで す。『九人脳』のせりふは最初 と最後以外自由です。真面目 な芝居、ミュージカル、どんな 展開でも構いません。9本の 内容がかぶることはないの で、沖縄の脚本家さんの実力 はすごいです」と熱を込める。 10 年前に4人の脚本家で「四 人脳」という公演を行い好評 で、今回はスケールアップを 図ったという。また劇団O.Z. Eといえばショート作品 50 本 を小劇場で上演し、3週間で 観客1500人を動員した 代表作「日付変更線」もある。 「多くの方が『日付変更線』の 復活を望んでいるので、一大 ムーブメントを作ったと実感 します。今回の『九人脳』も長 く続けたい。演劇はプロアマ問 わず楽しめて、誰でも参加で きるジャンルだと僕は思うん です。敷居は高くないので、フ ラッと遊びに来る感覚で見て いただけたらうれしいです」

 「ひーぷー」こと真栄平仁 さん、けいたりんさん(プロパ ン7)らも脚本を書いた「九 人脳」。演劇に詳しい人はも ちろん、初心者でも楽しめそ うな公演だ。 

(饒波 貴子)



「九人脳」

劇団O.Z.E Little Box Vol.18『九人脳』
日程:5月11日(土)~18日(土)
全8公演/16日(木)は休演日
会場:アトリエ銘苅ベース(那覇市銘苅)
料金:1回一般2500円 小中高生1500円 3回チケット7000円
※上演作品をQRコード先、SNSにて確認の上ご予約ください。
問い合わせ:☎098-866-6118株式会社オリジンlil
※本番直前、脚本家トークショー『脳』を開催。4月30日(火)、19時から銘苅ベースにて。
料金1000円で、ドリンクは別料金にて販売





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「九人脳」
脚本家9 人が3 つのルールに従って脚本を仕上げ、上 演する劇団O.Z.E(オゼ)主催の舞台公演「九人脳」。5 月11 日の初演に向けて、熱の入った稽古が進んでい る。写真は大田享さんが脚本・演出を手掛ける「グソ ウ」の稽古シーン。左から上原一樹さん(劇団O.Z.E)、 TOMOKI さん(オリジンlil)、蔵元利貴さん(TEAM SPOT JUMBLE)、花燈明佳さん(キャラOKINAWA)= 那覇市
写真・村山 望
「九人脳」
劇団O.Z.Eの頭・新垣晋也(あらかき・し んや)さんが総合演出を担当
「九人脳」
FEC所属のお笑い芸人・大田享(おおた ・あきら)さんは脚本家として参加
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