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[No.1473]

  • (金)

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「表紙」2013年06月27日[No.1473]号

あちこーこー 13

アチコーコー 13(2013年06月27日掲載)

美空ひばりを歌う友の会

ひばりに憧れて

 色鮮やかな衣装に身を包み、スポットライトの中、美空ひばりの曲を熱唱—。「美空ひばりを歌う友の会」が9日に那覇市のパレット市民劇場で開いた13回目のチャリティー公演は、立ち見が出るほどの大盛況。会場はひばりファンの熱気に包まれた。第4回から那覇市社会福祉協議会に売り上げを寄付し、寄付金は累計200万円に達した。「金もうけのためにショーをしたら、和也君(ひばりの長男)に怒られますよ」と会長の翁長節子さん(73)。大好きなひばりの歌で社会貢献できることが誇りだ。

末代まで歌い継ぐ

 昭和の歌謡界を代表する美空ひばり。終戦間もない1945年に8歳で初舞台を踏んで以来、生涯をかけて残した歌は1500曲を超えるという。女性初の国民栄誉賞も受賞。1989年に52歳で亡くなった後も、その魅力は色あせることない。最後のシングル曲「川の流れのように」は、ひばりを知らない世代でも耳にしたことがあるだろう。

 「終戦後、何もない時代、5、6歳の頃、親子ラジオからひばりさんの曲が流れてきました。カラオケがなかったので、耳で覚えました。ひばりさんはみんなの憧れでしたよ」と会長の翁長さんは瞳を輝かせる。ひばりと同世代で、ひばりの歌と共に人生を歩んできた。

13回忌から公演開催

 1996年に那覇市金城のがじゃんびら公園にひばりの歌碑を建立するため、寄付金集めの公演が開かれた。オーディションで出演者を選ぶことを知った翁長さんは一生懸命、ひばりの歌を練習。出演者10人のうちの一人に選ばれた。公演後、そのまま終わるのはもったいないと、出演者らで結成したのが「美空ひばりを歌う友の会」だ。

 同会のメンバーは毎週水曜の夜、那覇市上間のカラオケハウスとまと一日橋店に集い、ひばりの曲を歌う。現在は中南部から読谷村までのメンバー約10人が、CDやテープを聴いて練習した成果を披露している。

 2001年、ひばりの13回忌を機に、その偉大な功績を後世に伝えていこうと「歌と踊りのチャリティーショー」を開催。「美空ひばりさんの歌で社会に貢献」をモットーに、チケットの売り上げで車いすを贈呈した。以来、毎年、チャリティーショーを開催し、2、3回目は盲導犬育成資金として寄付。第4回以降は那覇市社会福祉協議会に寄付している。

週に一度の息抜きに

 神里政子さん(73)も60年以上の大ファン。「小学4年の時、親子ラジオから『リンゴ追分』が聞こえてきました。農家だったので、畑でも歌っていました」と振り返る。今でも大好きなDVDを見ると、「胸がいっぱいになる」という。

 第10回公演を見て会に参加した真栄城洋子さん(65)と根路銘美智子さん(65)は、「家事をしながら聴いています。CDが先生。CDを何度も聴いてから歌います」と話す。弁当屋を営む真栄城さんは、週に一回のカラオケを楽しみにしている。会は貴重な息抜きの場だ。

 栄町市場おばぁラッパーズの新城カメさんも第12回からショーに出演。「小さい頃、何となくひばりの曲を歌っていましたが、大人になって歌い方などのすばらしさに気付き、『七色の声』といわれる意味が分かりました。本当に偉大な人」と話す。ショーには「新城すずめ」として舞台に立つ。低く、張りのある伸びやかな歌声は、ひばりの面影が感じられる。会場から声援も飛び交うほどの人気だ。

 6月24日は25回忌だった。「亡くなってもますます人気があります」と翁長さん。「ひばりさんの歌は滅びることはありません。末代まで歌い継がれるでしょう」

 人々に勇気と希望を与え、昭和を駆け抜けた美空ひばり。その歌は沖縄でも大切に歌い継がれ、ファンの心に優しい花を咲かせている。

豊浜由紀子/写真・桜井哲也



美空ひばりを歌う友の会
9日に開かれた「第13回美空ひばりを歌う友の会 歌と踊りのチャリティーショー」で、(左から)「狐と笛吹き」を熱唱する同会会長の翁長節子さん、「川の流れのように」で会場を沸かせた新城すずめさん、「好きなのさ」を歌う石嶺元子さん=那覇市久茂地のパレット市民劇場 
美空ひばりを歌う友の会
毎週水曜の夜はカラオケタイム。和やかな雰囲気の中、自慢の喉を披露する=那覇市上間のカラオケハウスとまと一日橋店
美空ひばりを歌う友の会
 美空ひばりを歌う友の会
 毎週水曜18時〜21時、那覇市上間のカラオケハウスとまとで美空ひばりの曲だけを歌う。参加条件は「ひばりさんの歌が好きな人で、みんなと仲良くできる人」。中南部から読谷村まで約10人が参加。2001年から毎年、チャリティーショーを開催し、売り上げ金を寄付している。那覇市社会福祉協議会への寄付金は累計200万円に達した。
問い合わせは
☎090(5925)4916
(翁長)
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