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[No.1389]

  • (金)

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「表紙」2011年11月10日[No.1389]号

うちなー未来創る 1

伸ばそう 熱血監督10(2011年11月10日掲載)

楽しさ伝え、可能性広げる
那覇市おもろスポーツ少年団テニス 福里 芽衣コーチ(28歳)

 発展著しい那覇市天久新都心地区。その一角にある公園内テニスコート。週末や休日には大会等が開催され、大勢の競技者が集い活況を呈する。同コートをホームグラウンドに活動する「那覇市おもろスポーツ少年団テニス部」。指導者と子どもたちがスポーツを通し、人間力と競技力向上に努める創立7年目のチームだ。副団長兼コーチとして指導に携わる福里芽衣さん。優しい笑顔と大らかな性格で、子どもたちを温かく包み込む。

 やる気引き出し共に成長

 練習は毎週土曜日午前7時から始まる。ラケットを初めて手にする初級者から各種大会で上位を狙う中級レベルまで50人余。団長兼コーチの城間修さんを中心にレベルごとに分かれ、「焦らず、小さなことの積み重ね」、夢・目標に向かって日々努力を続ける。

 福里さんが指導するのは主に初心者。ボールを投げ、ラケットの使い方やボールのとらえ方を確認。体の動きにあわせ、「ナイスリターン」「いいよ」と声をかけ、やる気を引き出す。「スポーツ少年団」指導者としては若い28歳の女性コーチは子どもたちの可能性を広げ、テニスの楽しさを伝える。

 福里さんがテニスに興味を持ったのは小学校5年生の時。PTA行事で両親がテニスに熱中している姿を見て「私もやってみたい」と始めた。以来、テニススクールに通い、本格的に取り組む。首里中時代に九州大会、首里高校ではダブルスで全国大会に出場した経験を持つ。

 琉球大学でも体育会テニス部に所属。「青春時代のほとんどをテニスに費やした。今思えばもっといろんなことにチャレンジしておけば」と笑顔をみせ、おどける。

 テニスプレーヤーとしても小柄な福里さん。自らを「負けず嫌い。納得いくまで続ける」と話す。ひとたびプレーに集中すると、存在感が2倍3倍にも増し、子どもたちにとってあこがれの先輩だ。

 これまで、プレーヤー一筋に活躍してきた福里さん。5年前に大学時代の先輩から「子どもたちを教えてみない」と誘いを受けた。「少しためらったが、テニスを通して人間力が広がった。私が役に立てるのならお手い伝したい」と引き受けた。

 子どもから「きょうのウエア決まっている」「彼氏いる」などと気軽に声がかかる。時にはプライベートな内容まで話が及ぶことも。穏やかな笑みとまっすぐな性格が周囲を引き付ける。コートを離れれば、優しい「姉的」な存在だ。

 自主性を尊重

 子どもたちだけでなく、福里さん自身も資質、技術の向上に時間をかける。理論を学ぶ一方で大会や試合で出会った先輩らから練習方法などの指導を仰ぐ。他の指導者を支え、テニスの普及に熱い気持ちを注ぐ。

 他のクラブと比較して練習回数、時間とも少ない。そのため自主性を伸ばす指導に重点を置く。「ボールに反応し足を動かす」「元気に声を出す」といった基本が中心だ。

「人は努力した分だけ、夢に近付ける」と福里さん。「私自身、指導者としては成長途上で、学ぶべきことはたくさんある。もっと勉強して子どもたちに多くのことを教えていきたい」と表情を引き締める。

 福里さんは「子どもたちの真剣さ、ひたむきさが人の心を動かす」と話し、「子どもたちにどれだけ多くの経験、体験を積ませることができるか。大人として成長する過程において、少しでも手助けできれば」と話す。

 11月に行われる県民体育大会で、テニス競技の那覇市代表として団体、個人戦に出場する。週1、2回はラケットを握る福里さん。「ボールを追いかけると気分がまぎれる。本当にテニスが好きなのでしょうね」と笑う。

 学校や学年が異なるが、仲の良さが特長。指導者を先頭に多くの先輩、父母、子どもたちと心を一つに、夢に向かって挑戦が続く「おもろスポーツ少年団テニス部。今後の活躍に目が離せない。

(池原雅史)写真・國吉和夫


楽しさ伝え、可能性広げる
テニスの楽しさと子どもたちの可能性を広げる福里芽衣さん=那覇市おもろ町
楽しさ伝え、可能性広げる
テニスの基本を指導する福里さん
楽しさ伝え、可能性広げる
チーム紹介
那覇市おもろスポーツ少年団
2004年結成。部員は幼稚園児から6年生まで50人余。練習日土曜日 午前7時~11時(初心者、初級・中級と習熟度に応じて時間別)練習試合や各種大会、スポーツ少年団の行事、イベント等に出場
楽しさ伝え、可能性広げる
わたしの一言 梅木七帆さん
もっと練習してうまくなりたい
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