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[No.1615]

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「ワシントコポスト」2016年04月07日[No.1615]号

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おんぶひも

 よく晴れた日の昼下がりに、バスに乗りました。後ろの席に座って街の様子を眺めていると、突然小さな女の子の泣き声が車内に響き渡りました。その子は座席に座らず、その前のスペースにひざまずいて泣いているのです。目の前のボタンを誤って押してしまったのか、降車のサインが付いていました。母親は「すみません。間違えました」と声を上げ、泣きやむように強く小さな声で呼び掛けています。
 それでも、その子は泣きやみません。隣には小さなお兄ちゃんがいて、母親の腕の中には丸々とした赤ちゃんが眠っています。泣き続けている女の子の背中には、黒い天使の羽のデザインをした迷子ひもが付いていました。私は席を立って、女の子の所へ行きました。そして「抱っこしようね」と声を掛け、その子を抱き上げて席に座りました。
 人見知りをするかと心配しましたが、泣き声は止まり、「握手しようね」と言う私の言葉にその子は小さな手を任せてくれました。目が大きくて色白で、長いおかっぱ。市松人形のようにかわいいのです。隣のお兄ちゃんに年齢を聞くと「4歳」と答えてくれました。小さな声で「すみません」と言った母親と目が合いました。
私にもこういう時期がありました。3歳ずつ離れた3人の子どもを育てていた頃、外出は大仕事。車がなく、買い物は特に大変でした。
 私の母は「子どもが小さいうちは、おんぶひもを近くに置いて寝るように」とよく話していました。十・十空襲の時、私をおんぶして逃げ回った母にとって、おんぶひもは命綱だったのでしょう。夜中に地震や津波などが起こっても、おんぶひもさえあれば助かる道はある。両手はいつでも空けておくようにと。偶然見かけたバスの中の光景で、過去にタイムスリップしてしまいました。
 降りる時、母親は1万円札を出しました。運転手も母親も困っていると、最前列に座っていた男性がさっと財布を出し、両替を申し出ました。女の子の迷子ひもを握って待っていた運転手も私も、ほっと、一安心。母子4人が無事に降りる姿を見届け、私は「気をつけてね」と声をかけて席に戻りました。
 その後、しばらくポカポカと温かかったのは、陽気のせいばかりではなかった気がします。

(沖縄市 金蓮花)

(編コメ)小さな子どもを連れたお母さんにとって、外出は緊張の連続です。金蓮花さんの心優しい対応に、両替を申し出た男性も背中を押されたのかもしれません。チムグクル通う社会の一面を見た思いです。

レジでの距離間

 レジで並んでいる時、やたらと距離を詰めてくる人っていますよね。スーパーのレジで順番待ちをしていると、私の後ろに年配の女性が並びました。その人は持っているカゴを私の腕に何度も当ててきました。
 私の会計の番になると、その人は自分のカゴも素早く台の上に載せました。そして財布からお金を出している私のすぐ横に立ち、「早くどいてよ」と言わんばかりに自分も財布を広げています。急いでいるのかもしれませんが、とても不快に感じました。最近も同じスーパーでその人の姿を見かけたので、別のレジに並びました。後ろに続く人の立ち位置を示す線をつければいいのに!

(宜野湾市 ハンコちゃん)

(編コメ)同じ体験をすることがよくあります! ATMコーナーのように、立つ位置や並ぶ位置を示す誘導シールなどが分かりやすく貼られているといいですね。

娘の卒業式

 娘の小学校の卒業式がありました。その日の朝は「今日で最後だね」と、小さいころの思い出話をしながら身支度。卒業式で、卒業証書を受け取る娘の姿を見てうるうるしました。卒業の歌を歌う卒業生も親も泣いて、娘は退場の時に大泣きしていました。たくさんの思い出がよみがえり、涙をこらえることができなかったそうです。娘の涙を見た友達ももらい泣きして、良い小学校生活だったんだな〜と、思いが伝わりました。中学に進んでも、友だちをたくさんつくって青春を楽しんでほしいと思います。

(那覇市 いちご)

(編コメ)投稿を読んで、病気で休みがちだった姪の中学の卒業式を思い出し、ちょっと涙が出ました。娘さんの健やかな成長をお祈りします。

生活保護について

 3月3日付、糸満市の匿名希望さんの「子の貧困」を読んで、あらためて考えさせられました。
 私は福祉施設で働いていたころから、生活保護について疑問に思っていることがたくさんありました。生活保護の受給が当たり前になって、仕事を探していない方、お金が入るとパチンコなどに費やす方は実際にいます。仕事をしなくてもお金が入るので、時間を持て余しているのです。
 自分が望むような会社に就職するのが難しくても、その方にできる仕事はあるはずです。今は、職業訓練校など資格取得の勉強をしながら、就活をサポートする制度が充実しています。考え方、やり方次第で、生活保護費はもっと削減できると思います。
 それで浮いた予算を、学校給食費の無料化など生活困窮家庭の子どもへ支援すべきだと思います。
 生活保護に頼らず、頑張っている家庭はたくさんあります。生活保護を受給している方が、自分の生活を立て直す気持ちを強く持って行動すれば、生活保護は確実に減らすことができます。根本的な問題を突き詰めないと、悪循環が続いていくと思います。
 もちろん、体が不自由で生活保護を受給しなければ、生活が成り立たない方もいます。そういう方々のためにも、生活保護に関する細かな取り決めをいち早く整えてほしいです。家計を節約するように、予算も定期的に見直して、本当に必要としている場所で使ってほしいと思います。

(宜野湾市 チャーリーブラウン)

(編コメ)不正受給問題から、生活保護に対する誤解や偏見も多いと感じます。高齢や病気などで働けず、本当に必要としている人が保護を受けやすくなるためにも、一人ひとりが理解を深めることが非常に重要ですね。貴重なご意見をありがとうございました。

器にカビ

 お気に入りのお皿を棚から出すと、ふわふわと白っぽいカビが生えていました!
 表面がザラザラした素焼きの器で、昨年の冬に出かけた陶器市で一目ぼれした一枚です。普段使っている器からすると、目をむくような値段でした。でも、こういう土の質感を感じる、落ち着いた色合いの器っていいなぁと、その場を離れることができず、何度も触ったり、私と同じようにこの器に興味を示す人が現れると買わないで〜とひそかに念じたりしていました(笑)。
 そんな私を見かねた夫の「買ったらいいよ。その代わり、おいしい料理を期待してもいいよね(笑)」という言葉に背中を押され、お迎えすることができました。
 購入してから何度も使っているけど、カビが生えたのは2週間くらい出番がなかった時のことです。食器にもカビが生えるのですね。炒め物や揚げ物をよく載せていたけど、長時間洗わずに放置したことはありません。他の食器と同じように洗剤で洗って、自然乾燥させてから棚にしまっていました。素焼きの器って特別な扱い方があるのでしょうか。また一度カビが生えたら、生えやすくなるのか心配です。

(那覇市 さるる)

(編コメ)わが家にも素焼きの器はありますが、カビが生えたことはありません…。熱湯をかけて、消毒をするという話を聞いたことがあります。詳しい方がいましたら、ぜひ教えてください。

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