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大航海時代ポルトガルは
海洋国家「琉球」をレキオと呼んだ
「もしかして運命」
五日市 剛さん(ツキを呼ぶ魔法の言葉)VS開 梨香さん((株)カルティベイト代表取締役・県教育委員長)
五日市剛さんと開梨香さん=那覇市、カルティベイト社
離島の地域活性化を支援する会社社長で県教育委員長の開(比嘉)梨香さんと、隠れたベストセラー「ツキを呼ぶ魔法の言葉」でおなじみの五日市剛さんに、感謝の言葉が持つ、人生や運命をも左右する力について語ってもらいました。今回は、3ページのスペシャル版です。
編集部 26歳のころイスラエルの旅で出会ったおばあさんから人生を変えるような言葉を教わった―という話が小冊子になり、口コミだけであっという間に大ベストセラーになっているそうですね。先日、私も浦添市での五日市さんの講演を聴きましたが、千人の会場はなんと満席。ものすごい人気に驚きました。
五日市 以前、知人の家で語った体験談が録音され、次々とダビングされて、知らぬ間に全国に広がっていきました。やがて東京の男性にテープ起こしされると、今度はその文章がどんどんコピーされるようになり、インターネットにも載って瞬く間に全国に広がりました。そして5年ほど前に有志によって「ツキを呼ぶ魔法の言葉」という題名の小冊子がつくられました。
●運命握る言葉の使い方
五日市 剛さん(ツキを呼ぶ魔法の言葉)
その小冊子は口コミだけで広がっていき、書店で販売されていないにもかかわらず、すでに120万部。ムックや絵本など、書店で販売されている関連本と併せると300万部にも達するそうです。本当にびっくりしています。同時に講演も依頼されるようになりました。私も学者の端くれですから、これまで信用第一の仕事をしており、こういう科学で実証されないことをしゃべるのは、信用を失い命取りになるかも、と思ったこともあります。しかし、イスラエルで教わったこの言葉は普遍性のある「魔法の言葉」であり、今の時代にはとても必要なものだと思うようになりました。とくに言葉がひどくなっている子供たちには知ってもらいたいですね。
編集部 その魔法の言葉とは何ですか。
五日市 嫌なことがあったら、自分に声を出して「ありがとう」。良いことがあったら「感謝します」。この簡単な二つの言葉です。もちろん、「ありがとうございます」でもかまいません。それから、「○○になりました、感謝します」と言い続けると、本当にそうなってしまうというもの。まあ、そうなりやすくなる、と言った方が適切かもしれませんね。
編集部 ほかにどのようなことを教わったのですか。
五日市 人はしゃべった言葉通りの人生を歩む、と教わりました。ひどい言葉ばかり使っていると、ひどい人生になると。その頃は、かなり孤独感を感じていた時期でしたので、原因は自分の発する言葉にあったと気づかされました。
開 3年前に初めて五日市さんの講演を聴いて感激しました。言葉って本当に不思議ですよね。一瞬にして場の空気を変える力があることを実感します。先日、公立学校の女性管理職、校長先生や教頭先生の研究協議会の総会で講演をさせていただいたので、最後にツキを呼ぶ魔法の言葉について紹介しましたら、さっそく会長が手の甲に「ありがとう」「感謝します」って書いて実践されていました。きっと子どもたちにも伝わると思います。
五日市 沖縄って目に見えないものを尊重する風土があるような気がします。口から発する言葉も目に見えないものですが、昔から『言霊』といわれるように不思議な力を持っていると思います。不安とか心配を払拭するような言葉や元気にしてくれる言葉。それに迷っている自分の背中をポンっと押してくれるような言葉ってありますよね。
開 常に前向きなプラス思考だと、いい言葉が浮かんできますね。
五日市 はい。マイナス思考よりはプラス思考です。でも、プラス思考せねば…と意識し過ぎると、ストレスがたまるタイプもいます。そのような人には、感謝思考をおススメします。なんにでも感謝する感謝思考。魔法の言葉がスッと出てきやすくなります。
編集部 開さんは昔から何かやりそうなオーラがありましたね。
開 振り返ってみると、たくさんの方にご縁とチャンスをいただきました。仕事をしながら大学に通った学生時代は、琉球放送や「音楽院・首里」で企画・制作の基礎を学び、同時に県内の子供たちを長野やアメリカへ連れて行く交流事業など、いろいろなイベントを創らせてもらいました。どれも今の活動につながっていますね。20代で経営者になってからは、幸運にもリゾートや文化施設づくりに始り、沖縄サミットプレイベントの運営など大型のプロジェクトに携わることができました。辛いこともありましたが、どんな局面でも運よく乗り越えることができたのは、支えてくれた方々のおかげだと感謝しています。特別のことはできなくても、笑顔と感謝だけは忘れないようにしてきました。
五日市 開さんって言葉もきれいですが、笑顔がいいですよね。笑顔って感謝の想いをより深める触媒のようなものです。
開 ありがとうございます。楽しい会話や交流で気持ちもハッピーになりアイデアやイメージが膨らむことって多いですよね。私は、10数年前からエコツーリズムの活動をしていますが、地域の宝を地元の人といっしょに掘り起こし、磨くお手伝いをする中で、人や地域がイキイキと輝きだすのを何度も体験しました。病みつきになりますよ(笑)。
●小さな成功体験後押し
開 梨香さん((株)カルティベイト代表取締役・県教育委員長)
五日市 どんな例がありますか。
開 人口43人の本部町の水納島での例ですが、黒豆を使った特産品開発のお手伝いをしました。人も少ない、公民館もない、加工所もない島ですから、講習会はいいけれど商品化する自信がないと島の人は尻込みをしたんですね。そこで、モノレール県庁前駅で「プチ離島フェア」を企画し、わが社が訪問した他の島々の皆さんのものとともに、黒豆ジャムなどを出展してもらったんです。すると新商品はみごと完売。その一カ月後、島の女性リーダーが私のオフィスに来て、「1ロット1000個の容器を買う自信が湧いたので『みんな島花豆グループ』をつくりました。今度は賞を目指します!」って宣言しましたよ。
五日市 嬉しかったでしょう。
開 はい。島の人たちって、やる気はあっても自信がないことが多いんです。そこで目標や場を作って後押しする。達成した喜びは次なるやる気を生みます。小さな成功体験の積み重ねですね。地域活性化に携わっていて、生きがいを感じる瞬間です。
五日市 何事にも、小さな成功体験の積み重ねって大事です。どんどんやる気が出てきますからね。「このダイエット法、すごいよ」と勧められて試しても、2週間で数百グラムしか体重が減らなかったら、なかなか続きません。でも、1週間続けて1〜2キロやせたら、「よし、もっと頑張ってみよう」となるわけです。無名な私の本が図らずもたくさん世に出たのも、「何日か魔法の言葉をつかっていたら、本当にツイてきた」という実感が口コミにつながったのではないかと思います。
開 なるほど。五日市さんのお話は、子供たちにも人気があるようですね。
●感謝の心が能力伸ばす (五日市)
五日市 時々、小学校や中学校でも講演させていただいていますが、魔法の言葉のお話は、子供たちの心にスーッと入りやすいようで、講演後の反響が意外と大きいです。先生方からは「子供たちが乱暴な言葉を使わなくなり、クラスの雰囲気が良くなりました」とか、親からは「夫婦喧嘩していたら、”お母さん、そんな時は『ありがとう』でしょ“と子供に注意されました」など、微笑ましいお手紙やメールをいただいています。
開 学校の先生や親は、子どもの変化にすぐに気付きますからね。
五日市 プロゴルファー・石川遼くんの中学時代の担任だった森本洋二先生が、授業の前の『朝の会』で、生徒に私の本を読んで聞かせたそうです。それからというもの、朝の会で「ありがとう」「感謝します」という魔法の言葉をクラス全員で、声をそろえて言うようになったそうです。この生徒の中に、石川遼くんもいました。その後の遼くんの活躍はいうまでもなく、彼以外のクラスメイトにも、次々と効果が現れたそうです。例えば、体育祭の大縄跳びでは、校内新記録を出して一位に。受験においても、クラス全員が第一志望の高校に合格できたというから驚きです。
●”心の扉“が開く島の力 (開)
開 うわぁ〜、とても興味深いお話ですね。たしかに子どもたちの変化は速いですよね。伊江島の修学旅行の事例でいうと、6年前に大阪の不良校を民泊で受け入れたときの話は有名です。島のお父さんお母さんたちが悪さをする子供たちを本気で叱り、「死にたい」と訴えた女の子には、民家のお父さんが激戦地跡や自分の父親のお墓を案内しながら、同じ目線で語ることで、生きる勇気を与えたんです。子どもたちは島の人たちが真剣に向き合い叱ってくれたのを嬉々として語り合い、明るくなったのだそうです。そして学校そのものが変わっていった。
五日市 子供の心には扉があって、内側からしか開かないそうです。外から無理やり開けようとすると壊れてしまう、そんな話を聞いたことがあります。
開 沖縄の土地や島の人たちには、子供の心の扉を自然に開けさせる力があるような気がします。
五日市 沖縄ってすごいですね。私はすでにすべての都道府県で講演を行いましたが、沖縄県においてはナント23回も。断トツです。特に学校関係が多いですね。これも目に見えないものを大事にする風土からなんでしょうか。将来、沖縄から日本が変わっていくような気がします。
開 沖縄では、石や木に神様が宿り、村を神様が守ってくださる。沖縄は年中行事を通して、自然の恵みや神様に感謝し、ご先祖さまへの感謝を捧げています。先ほどお話した伊江島の集落共同体は強力ですよ。地域の行事ごとだけでなく、新しく立ち上げた民泊事業を5年間で2億円産業に成長させ、コミュニティービジネスの全国モデルを作ったのですから。
五日市 そのビジネスモデル、画期的で本当に素晴らしいですね。こんな不景気なときでも感謝の社風ができている会社や組織は伸びています。学校でも、感謝の心を持っている子供は能力を伸ばしやすいようですよ。高校駅伝で名門の監督が、「感謝の気持ちを忘れない生徒ほど、競技会で底力を発揮し、また練習においても成長が著しい」と言っていましたね。走る前に緊張して震えが止まらなくなった生徒でも、それまでお世話になった人たちの顔を思い浮かべて、「ありがとう」と感謝したら、実力がフルに発揮できたそうです。駅伝は、途中で苦しくなると減速を考えます。そんなとき、自分にたすきを渡してくれたチームメイトへの感謝を思えば、それがエネルギーに変わり、粘りに変わるみたいです。このように、人間というのは「自分のため」よりも「誰かのために」と思った方が、より大きな力を発揮できることが多いようです。心の支えにもなります。
開 「初めに言葉ありき、言葉は神と共にありき、言葉は神であった」、聖書の言葉だったでしょうか。五日市さんの魔法の言葉は、人の道を平易に説いていらっしゃるから、子どもにも大人にもスッと入っていくのでしょうね。
構成・金城倫明/写真撮影・島袋常貴
五日市 剛
いつかいち・つよし
1964年岩手県生まれ。工学博士。豊橋技術科学大学大学院博士後期課程修了、米マサチューセッツ工科大学に留学。大手化学会社を経て、現在は企業経営の傍ら数社の研究顧問を務める。
*五日市さんの書籍を扱っているお店「つきのまほう」の連絡先
浦添市勢理客2-3-18 コルリス
TEL:098-894-3958
http://tsukinomahou5.web.fc2.com/
開 梨香
ひらき・りか
本名は比嘉梨香。1959年那覇市生まれ。株式会社カルティベイト代表取締役。那覇高校、琉球大学法文学部卒。沖縄ノムラ代表取締役、有限会社開代表取締役などを経て現職。2009年県教育委員長に就任。